新ネットワーク理論
担当教員
授業の到達目標及びテーマ
この講義では、昨年度は「つながり」について、一昨年度は「新ネットワーク指向」を中心にして、「ネットワーク理論」研究の最前線にあるテーマについて説明してきたが、今年度は、ネットワーク理論の大きな枠組みとなっている複雑系について説明を行う。複雑系は、1990年代に研究が開始された極めて新しい学問領域であるが、近年、重要な理論が展開され、科学の中の科学と呼べれるまでに発展してきた学問である。
授業の概要と方法
講義はニール・ジョンソンの「複雑で単純な世界」を用いて行う。1時間定められた内容について講義をしたあとで、残りの30分は、その講義の発展問題を行なってもらう。それには、その日の講義の内容をまとめたり、中心となっていたテーマについて詳しく論じてもらったり、あるいは、シミュレーションプログラムを実行したり、あるいは、シミュレーションプログラムを記述してもらう。
授業計画
| 回 | テーマ | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | 複雑な要素、複雑な現象 | 1.複雑性の意味 2.創発現象の予測は可能か 3.複雑性だらけの毎日 4.八つの条件 5.科学の中の科学 |
| 2 | 秩序ポケットの出現(1) | 1.秩序と無秩序の間 2.書類をもとに戻せなくなる 3.情報のフィードバック |
| 3 | 秩序ポケットの出現(2) | 4.太陽・都市・身体 5.宇宙と乱雑さ 6.乱雑だから良いことも 7.偏りがあるから、予測ができる |
| 4 | カオスとフラクタルをどうとらえるか(1) | 1.複雑系のダイナミックス 2.規則的な時系列とランダムな時系列 3.不思議な状況 |
| 5 | カオスとフラクタルをどうとらえるか(2) | 4.現実の複雑系をとらえる方法 5.楽しい音楽、退屈な音楽 6.情報は食べ物にいている 7.宇宙人が子供を観察したら |
| 6 | 群衆の行動を予測する(1) | 1.「二者択一」問題 2.週末の夜の過ごしから 3.勝者になるとはどういうことか |
| 7 | 群衆の行動を予測する(2) | 4.意思決定の科学 5.群集と反群集 6.情報は食べ物にいている 7.癌や地球温暖化を制御する発想 |
| 8 | 複雑性とネットワーク | 1.動的ネットワーク 2.つながりはどのような影響を及ぼすか 3.ネットワークの生態学 4.菌類の「栄養取り回し」モデル 5.変化の中の変わらぬ構造 6.公平さと効率のバランス |
| 9 | 金融市場の動向を予測する | 1.金融市場はフィードバックだらけ 2.金融専門家の標準モデルの限界 3.異なる株式市場株式市場がよく似た動きを示すわけ 4.紙飛行機モデルで十分 5.暴落の分類学 6.予測可能ポケットに注目 7.衝撃にも、よく似た反応 |
| 10 | 渋滞・情報伝達と最適ネットワーク | 1.ルート選びのジレンマ 2.輸送・供給から経営、人体のネットワークまで 3.渋滞税の額を変化させる 4.多重リング・ネットワークのスーパーハブ 5.ハブには適正限界がある |
| 11 | 理想のパートナーと出会う | 1.四つの障害 2.放射性崩壊と交際の進展 3.うまくいく出会い方 4.万人のパートナー 5.生まれ変わり 6.監視役による防衛戦略 |
| 12 | 戦争やテロの法則 | 1.似てくるテロ、内線、国家間戦争 2.最悪のケースを考えて立案せよ 3.反乱のメカニズム 4.テロと戦争の複雑系モデル 5.攻撃のパターン |
| 13 | 感染症、癌を如何に抑えるか | 1.生まれながらの殺し屋 2.蔓延の鍵は、ネットワーク構造 3.コミュニティの相互作用 4.がんの有効な治療法 5.最良の防御戦略とは |
| 14 | 自然と量子ゲーム | 1.量子の不思議な振る舞い 2.複雑系の根源 3.光合成エネルギー利用の太陽電池 4.量子ゲーム・量子装置 5.誤差を組み合わせて、誤差を最小に |
| 15 | まとめ | 最近の話題を取り上げて、将来の発展について講義する |
授業外に行うべき学習活動
毎回課題を課すので、それに対するレポートを提出すること
テキスト
「複雑な世界、単純な法則 ネットワーク科学の最前線」 マーク・ブキャナン (著), 阪本 芳久 (翻訳)
参考書
参考文献 「つながり 社会的ネットワークの驚くべき力」ニコラス・A・クリスタキス/著 ジェイムズ・H・ファウラー/著 鬼澤忍/訳 「新ネットワーク思考 世界のしくみを読み解く 」 アルバート・ラズロ・バラバシ (著), 青木 薫 (翻訳) 「スモールワールド・ネットワーク 世界を知るための新科学的思考法 」ダンカン ワッツ (著), Duncan J. Watts (原著), 辻 竜平 (翻訳), 友知 政樹 (翻訳) 「スモールワールド ネットワークの構造とダイナミクス」 ダンカン ワッツ (著), Duncan J. Watts (原著), 栗原 聡 (翻訳), 福田 健介 (翻訳), 佐藤 進也 (翻訳) 「複雑ネットワークの科学」 増田 直紀 (著), 今野 紀雄 (著) 「複雑ネットワークとは何か複雑な関係を読み解く新しいアプローチ 」増田 直紀 (著), 今野 紀雄 (著) 「SYNC」スティーヴン・ストロガッツ
成績評価基準
宿題と期末テスト(受講者が少ない場合にはレポート)による。
前年度の授業改善アンケートからの気づき
特になし。