並列分散処理入門

担当教員

授業の到達目標及びテーマ

 世の中は今や携帯ゲーム機からPC、クラウド、スーパーコンピュータまでほとんどすべての情報システムが並列化され、それらが有機的にネットワークで結合され、巨大な並列分散システムが構成されている。本講では、並列・分散技術の基盤となる技術を俯瞰する。ハードウエア、アーキテクチャ、OSから応用まで幅広い技術分野にわたり、基本技術を習得することを目的とする。

授業の概要と方法

 複数台の計算機を有機的に結合し処理能力を高める並列処理および、地域的にも分散した計算機同士が協調して効率の良い仕事を行う分散処理方式を概観する。並列処理のアーキテクチャの分類、データ列と命令列のそれぞれの並列化、パイプライン処理方式、並列処理ソフトの基本技術を習得する。また、分散システムでは通信、同期、分散ファイル、共有システムなどのそれぞれの技術について紹介する。講義資料は事前にWebにて公開するので、あらかじめ講義内容に目を通し、問題点を整理しておくこと。

授業計画

テーマ内容
1 並列分散処理の目的、歴史的経緯 並列処理と分散処理のイントロダクションを行う。それらの歴史的な技術の変遷を辿り、現在技術のカバーする技術領域を明らかにする。
2 並列分散システムの結合レベル アーキテクチャの見地からシステム構成方式の技術を見る。分散処理と並列処理の違いを結合レベル度合から見る。
3 並列システムの相互結合網 並列システムの相互結合網をコスト、スケーラビリティから検討し、プログラムモデルの関わりを見る。
4 並列システム事例、並列アルゴリズム これまでに開発されたシステム事例を紹介し、並列アルゴリズムとの関連を調べる。
5 並列分散システムのソフトウエア、言語 並列分散システムを効率良く動かすためのシステムソフトウエア技術及び応用プログラムを計算機に指示するためのプログラミング言語の技術について考える。
6 通信プロトコル、クライアント・サーバモデル、遠隔手続き呼出し 並列処理、分散処理システムで参加コンピュータが烏合の衆とならないために、通信方式、処理の分担が重要。それらの技術を検討する。
7 分散システムにおける同期、排他制御 複数のコンピュータが相互に妨害しあわず、正しい処理を行うために同期方式、排他制御方式を俯瞰する。
8 線型時間、分散システムの同期方式、合意方式、分散ロック方式 同期手段の代表的な実現方式として線形時間や合意、ロックなどの技術を見ていく。
9 障害検出・復帰方式 システムに障害は不可避であり、その障害検出方式、また障害からの復帰方式を考える。
10 リアルタイムシステム、認証・暗号化、 リアルタイムシステムの技術課題について述べる。また、安心安全なシステムに向けた認証、暗号化方式にも言及する。
11 分散データベース 、分散トランザクション、並列処理応用 本来、集中的な処理となるデータベースやトランザクション処理を並列/分散化する手法を見る。
12 並列処理における粒度、命令レベル 並列処理 並列処理で性能を向上すrためにはあらゆる粒度での並列化が必要。先ず命令レベルでの細粒度並列処理から始める。
13 並列プログラム、問題の並列化 並列分散処理の応用、Grid技術 並列処理向のプログラミング言語の課題と応用レベルでの並列化を見る。
14 クラウドを支える、アーキテクチャ、システムソフトウエア、アプリケーション 近年注目される、クラウド技術をケーススタディとしてそこで用いられるシステムソフト、応用技術を見る。
15 並列・分散処理技術の技術課題と将来展望 殆どすべての情報機器が並列化されそれらがネットワーク化され巨大な並列分散処理システムが構築されようとしており、その技術課題と将来展望を行う。

授業外に行うべき学習活動

授業はWebにて講義資料を事前に配布するので、その内容を事前にめを通し、講義には分かり難いところ、問題点を整理して臨むこと。また、理解度を調べるため数回のレポートを課す予定。

テキスト

特にテキスト、参考書は指定しない。講義資料は下記のWebページより事前に配布するので、 http://cis.k.hosei.ac.jp/~koike/IntroPDS/

参考書

参考書は特に指定しない。Webページに必要な情報は掲載しておくので、そこから参照すること。

成績評価基準

 期末試験を70%,課題レポートと出席をあわせて30%とする。  毎回出席が原則なので欠席は一回につき-5点を加算。

前年度の授業改善アンケートからの気づき

 本講は殆ど毎回レポートを課しています。これは自ら考え、技術を習得する上で、助けになり期末試験に向けても良い準備ができると思います。従い、課題提出と出席を持って出席点とすることになります。