法学2
担当教員
授業の到達目標及びテーマ
われわれに関わる「法」について、より多く具体例に即しながら、その意義や理念、目的、特質などを、法以外の様々なルールなどと対比させながら探り、法というものについての基本的な理解を得る。 「IT」をめぐる法や法的諸問題が蓄積されつつある状況にもかんがみ、情報科学部生の法意識ないし権利意識(併せて義務意識)をも涵養したい。
授業の概要と方法
法の基礎を中心に学ぶ。一般に考えられている法に関する「誤解」や先入観などを指摘しつつ、法というものについての基本的な理解を得ることを目指す。その中で、憲法の理念と現実をめぐる諸問題にも目を向け、「現代憲法」についても考察する。
授業計画
| 回 | テーマ | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | 法学学習の意義と受講上の注意、等。 | 主な履修者は1年生なので、高校までは学ぶことのなかった法学について、学習上のポイントや受講上の諸注意、さらに法学を学ぶことの意義等について話す。 併せて、毎回試験についての問い合わせも初日に多いので、試験形式や解答上の注意点なども述べる。 |
| 2 | 法の基礎について――「法律問題」とは何か。 | 何が「法律問題」となり、そして何が必ずしもそうならないか、受講者が抱いているだろう先入観を払拭すべく、「法律問題」とは何かについて講述する。 |
| 3 | 法律問題」とは何か。 - - 「民事」の場合。 | ある紛争が「法律問題」となるためには「国家」が介入することが不可欠だが、この「国家の介入」に関して「自力救済の禁止原則」という「近代(民事)法」上の基本原則をながめることで、「国家・法・(民事)法律問題」のそれぞれの関係についての基礎を理解する。 |
| 4 | 法律問題」とは何か。 - - 「刑事」の場合。 | 前回と同様の視点から刑事の場合をながめる(自救行為の禁止原則)。そして、「国家・法・(刑事)法律問題」のそれぞれの関係についての基礎を理解する。 |
| 5 | 「法の支配」という考え方。 | 前回までの「国家と法」の関係および民・刑事における「禁止原則」を踏まえて、近代法で体系化された「法の支配」という考え方について学ぶ。これは、権力行使をコントロールして「国民の自由・権利」を護ることを制定理念とする「憲法」の原点にも関する非常に重要な考え方である。 |
| 6 | 「法の支配」という考え方(その2)。 | 現代日本法の幾つかを取り上げて、「法の支配」の基本的な考え方を確認する。 |
| 7 | 「法の支配」という考え方(その3)。 | 「法の支配」のまとめとして、近代憲法としての日本国憲法を検討する。「法の支配」のもとに、立法、行政に対する司法の優越などが導き出されること等を学ぶ。 |
| 8 | 「法律問題」の個別的な検討――「民事事件」 。 | 法律問題には、「民事」「刑事」「行政」の三種の事件があるが、はじめに「民事事件」について検討する。ここにおいて適用される「民事法」(「私法」)の特徴・特質等について講述する。 |
| 9 | 「民事事件」(その2)。 | 民事法における「任意規定(法規)」および「強行規定(法規)」について。 |
| 10 | 「刑事事件」 | 「刑事事件」および「国家の刑罰権」について学ぶ。ここにおいて適用される刑事法規(「公法」。主に刑法、刑事訴訟法)の特徴・特質等をながめて、「起訴独占主義」「刑事裁判」等に言及する。 |
| 11 | 「刑事事件」(その2)。 | 近代刑事裁判の原則である「無罪の推定原則」について考え、このこととの関連で「えん罪」に言及する。 |
| 12 | 「刑事事件」(その3)。 | 「起訴独占主義」がもたらす「えん罪」について(前回の続き)。日本におけるえん罪事件の多発の背景・要因等を探る。「憲法」における「人身の自由」についても言及。 |
| 13 | 「行政事件」 | 「行政事件」は権利関係をめぐって、公権力を行使する「国家」(行政庁)と国民との間に生ずる(紛争)事件のこと。これに関して「民事事件」との相違等に言及する。 |
| 14 | 「行政事件」(その2)。 | 前回に関連して、行政事件が民事事件となる場合や「国家賠償請求制度」について述べる。最後に、行政事件の柱ともいえる「不服申し立て制度」につき略述する。 |
| 15 | まとめ | 本講義のまとめ。さらに、質疑等と期末試験についての解説をする。 |
授業外に行うべき学習活動
復習中心の学習を薦める。予習はしなくてよい(してもよいが)。すなわち、講義終了後に、講述内容を思い出しながら教材や各自の講義ノート等で講義内容の整理をすることを毎回繰り返し、さらに興味惹かれた項目や話については各自文献や資料等に当たって自身の考えを持つように努めることが、「期末試験」への有効な対応という意味でも、一つの学習スタイルとして薦めたい。また、新聞等で法律記事やトピックにも関心を向けてほしい。
テキスト
講義レジュメ(プリント)を配布し、これに沿って進める。併せて資料も適宜配る。(教科書は使わない。)
参考書
講義の中で適宜紹介する。 (なお、「ホームページ(HP)」の有無を学生から訊かれることがあるが、HPはない。ただし「ブログ」は開設しているので、興味があればアクセスしてみて下さい。といっても法学関連の記事はさほど多くはない。多くはアトランダムにテーマを選んだ随想風の文である(他には私の「個人的趣味」も含まれているが)。私の講義スタイル(または「私自身」)に〝馴染む〟ために役立つかも知れないので、URLを挙げておきます。『santarou-no-daiarii』(『参太朗』でもよい)。今後は、法学学習に役立つような記事も少しずつ増やそうかとは思っている)
成績評価基準
基本的に定期試験によるが、併せて出席率も加算する(出席は適宜取ることとし、70%以上の出席率がある者につき「出席点」を加える)。なお、出席率が40%に満たない者は「履修放棄」したものとみなす(欠席理由については考慮する)。
情報機器使用
時間が許せば映像資料を使うことを考えている。
前年度の授業改善アンケートからの気づき
学生評は両極にわかれてはいるが、私としては「ポジティブ評価」の声を恃(たの)みとして、これを一層活かすべく進めてゆきたいと考える。これにより、ネガティブ評価部分の改善が漸次なされるものと期待する。なお、教室の変更の対応に不満があったが、これは「物理的な」問題が難儀の原因でもあり、大学としては決して対応を怠っているのでないことを申し添える(今年度も生じ得るかも知れないので)。
その他
〇受講者が専門外の初学者であることを念頭において平易な講述を心がけるが、学生諸君も法と自身との関わりの深さを自覚しながら聴講してほしい。 ○当然ながら「私語は厳禁」とする。他の学生に対する「聴講権」の侵害となるゆえ。法学の講義での「権利侵害」は断じて認められない。 ○講義での疑問点や質問、あるいは講述の仕方や声の大きさ・速さ、などについての要望は(その場ででも)遠慮なく出してほしい。それをせずに不満をため込むことだけはしないでほしい。 ○講義は、あくまでも自身にかかわる問題として聴くことが理解への早道となる、ということを銘記してほしい。