Psychology 1
Instructor
Goal and Theme
心理学とはどのような学問であるかを知り、人間の心の働きを研究する方法を学びます。特に、「認知」の機能にはどのようなプロセスが含まれ、それらがどのようなしくみで生じるのかを説明できるようになることを到達目標とします。
私たちは、いつも自分の周りにあるもの、自分の周りにいる人、自分の周りで起こっていることを理解しながら生活しています。これは、当たり前のことのように思えるのですが、実は脳の高度な働きがなければできないことで、同じことをコンピュータで実現しようとしてもなかなか成功しません。認知心理学は、そのような脳が行う高度な情報処理を心理学の研究方法で明らかにしようとしています。この授業では、心理学の歴史の中で認知心理学が登場してきた背景、認知とはどのようなプロセスなのか、それをどのような方法で研究しようとしているのか、そしてどのような研究成果をあげてきたのかを学び、説明できるようになることを目標とします。
Abstract
まず、人間の心を科学的に研究しようとしてきた心理学の歴史を紹介し、認知心理学の位置づけを示します。次に、歴史的に重要な学習と個人差の心理学について、研究成果を紹介します。続いて、認知心理学の主要なテーマである感覚・知覚・記憶・理解における情報処理のしくみについて解説します。黒板は使わず、パワーポイントを使って授業を進めます。画面をノートに書き写すのではなく、解説を聞きながら要領よくノートを取るように心がけてください。
なお、毎回の授業で「よくわかったこと」と「よくわからなかったこと」を書いて提出してもらい、授業への参加度の確認に使用します。
心理学は、19世紀の終わりごろから「実証科学」としての位置づけを模索してきました。20世紀に入ってから「行動主義」が主流だった時代を経て、20世紀の後半に認知心理学が登場して今に至っています。このあたりの歴史と主要な研究例を紹介した後に、認知心理学の内容を解説します。現在、認知心理学が扱う領域は非常に広いのですが、この授業では基礎的な研究の成果を中心に説明します。知覚や記憶のデモンストレーションや、実験結果の図示などを行いますので、パワーポイントを使いながら授業を進めていきます。ノートに書き写しにくい画像などはプリントにして配布しますが、パワーポイントのスライドをすべてプリントして配布することはしません。また、パワーポイントの表示が話すことのすべてではありませんので、内容を理解しながらノートを取るように心がけてください。
Schedule
第1回: イントロダクション([目標]授業の概要を理解し積極的に受講する意欲を持つ。[内容]授業の概要と講義の進め方。心理学とはどのような学問か。[授業外の学習]関連文献による復習。)
第2回: 心理学の歴史([目標]実験心理学の誕生から認知心理学への歴史的流れを説明できる。[内容]心理学の歴史における実験心理学の誕生とその後の展開、行動主義から認知心理学への流れ。[授業外の学習]関連文献による予習と復習。)
第3回: 学習心理学の成果([目標]学習過程についての研究成果を説明できる。[内容]古典的条件づけ、オペラント条件づけ、社会的学習の研究成果の紹介。[授業外の学習]関連文献による予習と復習。)
第4回: 個人差の心理学([目標]心理学における個人差研究の成果を説明できる。[内容]人間の知能と性格についての研究例の紹介。[授業外の学習]関連文献による予習と復習。)
第5回: 感覚のはたらき([目標]感覚の特性と、それをつかさどる神経系のしくみを説明できる。[内容]感覚の種類と役割について。視覚をつかさどる神経系の情報処理のしくみ。[授業外の学習]関連文献による予習と復習。)
第6回: パターン認識([目標]パターン認識におけるボトムアップ処理とトップダウン処理を説明できる。[内容]パターン認識とは何か。神経系のボトムアップ処理と概念先行のトップダウン処理。[授業外の学習]関連文献による予習と復習。)
第7回: 人間の知覚の特性([目標]知覚心理学の成果を説明できる[内容]色・形・空間・運動などに関する知覚心理学の研究成果の紹介。[授業外の学習]関連文献による予習と復習。)
第8回: 注意のはたらき([目標]注意の働きがどのようなものであるかを説明できる。[内容]注意における情報の選択機能と資源の配分機能。[授業外の学習]関連文献による予習と復習。)
第9回: 短期記憶のはたらき([目標]短期記憶の働きについて説明できる。[内容]情報を短期間貯蔵する記憶システムの役割。[授業外の学習]関連文献による予習と復習。)
第10回: ワーキングメモリ([目標]ワーキングメモリの機能について説明できる。[内容]情報処理における作業の場としての記憶システム。[授業外の学習]関連文献による予習と復習。)
第11回: 長期記憶とは何か([目標]長期記憶の種類とはたらきについて説明できる。[内容]長期記憶の種類とはたらき。[授業外の学習]関連文献による予習と復習。)
第12回: 意味の理解とスキーマ([目標]意味の理解におけるスキーマの役割について説明できる。[内容]スキーマとは何か、意味の理解における知識の体系と活性化の役割。[授業外の学習]関連文献による予習と復習。)
第13回: 知識の表現([目標]知識を表現するためのモデルについて説明できる。[内容]知識表現のためのカテゴリーモデルとネットワークモデル。[授業外の学習]関連文献による予習と復習。)
第14回: 推論の特性([目標]推論とはどのような過程であるかを説明できる。[内容]推論とは何か、人間の推論の特性。[授業外の学習]関連文献による予習と復習。)
第15回: 試験
Materials
「はじめて出会う心理学(改訂版)」(長谷川寿一・東條正城・大島尚・丹野義彦・廣中直行[著]、有斐閣、2008年)
References
「知性と感性の心理」(行場次朗・箱田裕司[編著]、福村出版、2000年)
「認知科学」(大島尚[編])、新曜社、1985年)
その他、授業時に紹介します。
Evaluation Method
授業への参加(30%): 毎回の授業で「よくわかったこと」と「よくわからなかったこと」を提出してもらい、授業への参加度を評価対象とします。
試験の成績(70%): 授業内容の理解度を確認します。試験の実施方法は受講者数などを見てからお伝えします。