情報科学部長 花泉 弘 教授
Dean of the Faculty of Computer and Information Sciences
情報科学部へようこそ
21世紀は人材の育成から
21世紀の初頭は激変の時代であり、製造業を中心とした産業化社会から、ソフト(知的生産物)を中心とした情報化社会に大きく変わろうとしています。日本は、この大きな変化をリードできずに、さまざまな分野において長い低迷を続けています。長期にわたる低迷から脱却するためにさまざまな施策が論じられていますが、すべての構想はそこに必要な人材なくしては実現できません。 情報科学部は新しい時代を構築する人材の育成を目指した学部です。情報という名前を名称の最初あるいは最後につけた学部・学科は日本の大学の中にたくさんありますが、その多くは従来の分野にコンピュータでの処理を加えたもので、本格的な情報科学ではありません。
もの作りから概念作りへ
情報科学部は新しい概念を作れる人材の育成を目指しています。情報科学は新しい概念を次から次へと創り出すことで、新しいシステムを世の中に出し続けています。Linux、Java、インターネット、WEBなどきりがありませんが、これらのシステムが生まれた背景には、オブジェクト指向、分散処理、GUIなどの重要な概念の創出があります。 日本からこのようなシステムが次から次へと生まれるようにしなければ、政府が標榜する科学技術立国とはいえませんし、もちろん、情報化社会をリードすることはできません。
しかし、情報化社会では、着想から実現までの時間が極めて短いため、新しい概念の創出とそれを応用したシステムの実現は一体化しています。このため、新しい概念の創出なしには、新しいシステムの実現は望めません。 情報科学部には、二つの学科があります。コンピュータ科学科とディジタルメディア学科です。コンピュータ科学科では、コンピュータをよりは速くすることとコンピュータをより賢くするための概念つくりを行います。また、ディジタルメディア学科では、ディジタルで表現された情報の概念つくりを行います。コンピュータ科学科に所属している教員は、コンピュータ・アーキテクチャ、ソフトウェア・エンジニアリング、並列処理、プログラミング言語、コンパイラ、人工知能などの専門家です。また、ディジタルメディア学科に所属している教員は、コンピュータ・グラフィックス、形状モデリング、コンピュータ・アニメーション、画像処理・認識、ネットワークシステムなどの専門家です。殆どの教員は、国際会議を中心にして、国際的に活躍をしています。
新しい息吹
情報科学部は、2000年に設立されたため、まだ、ほんの少しの歴史しかありません。しかし、その中で学生たちは多くの成果をあげています。2001年の2月には、1年生を対象にJavaでのプログラミングコンテストを行いました。また、この夏には、2年生の有志が情報ラボ(学部学生にプログラミング教育を施す専用のラボ)の改善案を提出し、夏休みを利用して、システムのインストールを行っています。また、1年生から始まっている情報科学プロジェクトでは、各教員の指導のもとに、学生が発想してのシステムの構築を行っていますが、コンピュータ・グラフィックス、WEBとデータベースを用いてのヴァーチャルカンパニー、Linuxシステムの構築など、学部学生の成果かと思われるほどの良いものが出てきています。
将来へ期待
学生たちのすばらしい成長振りは、学生たちの資質も然るものですが、情報科学部へ入学するときの動機づけと、大学に入ってからのカリキュラムに負っている部分が多いと思われます。情報科学部のカリキュラムは、情報処理学会やACMが進める情報科学のカリキュラムに即しています。プログラミング言語(Java,C)、オペレーティングシステム、コンピュータ・アーキテクチャ、データベース、ソフトウェア・エンジニアリングなど情報科学が必要とする基礎的な分野を学んだあとで、コンピュータ科学科では、人工知能、分散処理などをより深く学びますし、ディジタルメディア学科では、コンピュータ・グラフィックス、画像処理・理解などをより深く学びます。このように本格的に情報処理を学んだ学生たちは、卒業後は情報化社会をリードする技術者・研究者として、きっとすばらしい活躍をしてくれるものと期待していますので、社会のほうからも応援していただければ幸せです。
情報科学部の教育目標
「ものつくりから概念つくりへ」を標語にして情報科学部は設立されました。本格化する情報社会では、新しく生まれる応用領域において必要となる新しい概念を生み出す人材、知的生産の担い手が不可欠となります。こうした社会的な要求に応えるため、コンピュータ科学を基盤とする知識体系の獲得、現実世界の現象や人々の行動を分析しモデル化(抽象化)する能力の獲得、サイバー世界の情報を処理・加工し目に見える形で表現・発信する能力の獲得、これらに加えて、国際人としての英語によるコミュニケーション能力と一般教養および職業倫理の獲得を学位授与の条件とします。これらの教育目標の実現のために、少人数クラスによる英語教育、ミニプロジェクトを中心としたプログラミング演習とその上での専門教育を実践します。さらに、専門知識の実践の場としてのプロジェクト教育や学生個人の総合力を育成する場として卒業研究を位置づけています。これらの教育課程において、所定の単位を修めた学生に学位を授与します。
情報科学部の教育課程
情報科学・技術の進歩は激しいため、学問体系として変化しない基盤部分と技術の進歩に応じて急激に変化する部分とを分けて教育課程を編成します。情報科学の分野における国際・国内学会では、数年ごとに情報科学分野で授与すべき知識の体系について見直しが行われていますが、基盤部分はこうした知識体系に準拠したカリキュラムとなるようにします。知識体系の最先端部分は各教員の研究内容と位置づけることで、プロジェクト形式の教育を行います。変化の激しい部分である新しいプログラミング言語の習得などは、学生の希望を取り入れつつダイナミックに編成されるべきであり、例えば長期休暇中の集中講義形式での実現を目指します。



