電気と磁気

スコープ

いろいろな電磁気現象とそこから導かれる基本法則を順次学んでいきます. また,日常的に起きる電磁気現象を基本法則から理解することも試みます.

この科目では時間的な変動がない電気現象を中心に学び, 後期の「電磁場と電磁波」では時間的に変動する電気現象を学ぶ予定です.

目標

電磁気現象が従う法則について理解を深め,その応用にも注目するのがこの授業の目的です. 電気や磁気の現象は直接に目で見ることができないので,数式による表現が不可欠になります. 多くは空間の性質(ベクトル場)を微積分の式で表すものなので, 式のイメージをつくれるようになるとよいです.

この授業では1年前期で学んだ力学と微積分学が基礎知識・能力として要求されます.

各回の授業に対する予習は大変に重要です. 教科書の対応する章に,どのような現象と法則が書かれているか, どのような論理でどのような結論が導かれているか, 新しく導入された用語や概念は何かを予習してください.

予習では「授業中にどんな質問をしようか」と考えるようにしてください.

自習用動画教材

講義資料・課題

A. アニメーションを使って
   Java Appletがブラウザで動かないとき,RATポータル・ページに処方箋があります
   大項目をクリックするとhttp://www.compadre.org/Physlets/electromagnetism/に移動します.(Java scriptが動作する環境が必要です)
   小項目をクリックすると[問題]の和文を見ることができます(アプレットは動作しません).
           【報告書の書きかた】
           
  1. 電荷と静電気力
  2. 物体は,その基本的な性質として質量を持つのと同じ意味で,電荷を・揩ツ. 実際,電荷は質量よりも基本的なものと言えるかもしれない. アインシュタインが理論的に予測し,のちに実験で確かめられらたことだが, 質量はエネルギーに変わるので厳密な意味では保存しない. これに対して,電荷が保存しないという現象を観測した物理学者は一人もいない. 静止した電荷(そして動いている電荷についても)の間の相互作用について予測する理論はこれまでに開発されたなかで最も正確であり成功したものである. 日常的に行われる実験では,電荷が消えたり生じたりするように見えても, 実は存在している単に電荷が移した結果を見ているだけのことである. 1つの物体にある量の電荷が出現したように見えるときは,必ず他の物体がそれと逆符号で同じ大きさの電荷を得ている. 電荷が消えたように見えるときは,異符合の電荷が入ってきたのである.


  3. 電場
  4. 前章ではクーロンの法則を学んだ. この法則は点電荷の間に作用する力の性質を述べている. この章では,電荷の周囲の空間に何が起きるか,具体的には 電場の生成について述べる. 「場」という概念を導入すると,周囲の電荷によって作られる電場のために,そこにいる電荷が受ける力を記述できるようになる. 電場を測定するには,正電荷をもつ物体が受ける力(大きさと向き)をその電荷で割る (E = F/q). 測定する電場が変化しないように,できるだけ小さな電荷を使い,これを「試験電荷」という. 空間のいたるところに電場があり,その様子を表すのに電場ベクトルを用いたり,電気力線を用いる.


  5. ガウスの法則
  6. 1個の点電荷がつくる電場の大きさは,そこから離れるにしたがって逆2乗則で小さくなる: 1/r2. 半径rの球面の面積と,1辺がrの立方体の表面積を比較すると,それぞれ 4πr2と 6r2 である. いずれも,係数は異なるが,図形の代表的な長さの2乗 r2 に比例して大きくなる. 電場が距離の2乗に反比例して小さくなることを,面積に比例して小さくなると言い換えることで,ガウスの法則が導かれる. 19世紀の物理学者たちが好んだのは,ベクトル場と流体の流れの類比だった. もし流体が1点から流れ出すなら, この点を完全に囲む面を通る流体の量は,面の形によらず一定の値になる. 単位時間に面を通過する流体の量を流束ということがある. 電場や重力場を流体であるかのように考えるのは誤りではあるが, これらを扱う数学の手法は同じであり,電場の強さと面積の積である電束なるものを計算する必要が出てくる.


  7. 電位
  8. 力学の問題を考えるときは力とエネルギーの2つの視点からのアプローチがあった. 静電気の問題でもこれは同じだが,力とエネルギーに代わって,電場(力÷電荷)と電位(位置エネルギー÷電荷)を用いるのが普通である.電位は静電ポテンシャルともいう. 以前と同様に,位置エネルギーの変化は,その中で物体(この場合は帯電した物体)を移動するときに必要な仕事の符号を変えたものに等しい. 電位の単位はボルトであり,電位の基準点となる位置を任意に選べることは位置エネルギーの場合と同様である. 日常生活では電位の基準を大地(地面と接続した導体)にとりそこを0ボルトとすることが多い(接地する). 理論てきな計算では,注目する電荷分布から非常に離れた位置(無限遠,電場が0)にとることも多い.


  9. コンデンサーと誘電体
  10. 電場と電位を学んだので,コンデンサーを理解するのに必要な道具がそろった. 平行板コンデンサーは2個の導体のシートを接近させ,それぞれに異符合の電荷を与えて電位差を発生させる装・uである. 平行板コンデンサーをある電位差(電圧)で充電したときに蓄えられる電荷は,コンデンサーの形状に依存し,電気容量(単位はファラッド=クーロン/ボルト)で表される. コンデンサーの電気容量を増やす方法として一般的なのは,電極間に誘電体(絶縁物)を挿入するものである. 誘電体中の電荷は分子から分子へと移動することができない.これと対照的に,導体の自由電子は電場があると移動する.


  11. 磁場と磁力
  12. 電流(電荷の移動)は磁場を作り出す. 冷蔵庫に張り付ける板磁石の中でも電荷が動いていて(原子の中の電子が原子核のまわりをうごく)磁場が作られる. ある物体は磁石になるが,磁石にならない物体もあるなど,物質・フ磁性を理解するには量子力学を駆使しなければならない. この章では磁性の起源については心配せず,そのかわりに i)磁場の記述(磁場ベクトルと磁力線), ii)磁場の荷電粒子への影響(ローレンツ力) に注目する. 磁力線を描き,磁石の間に働く力(同種の磁極が反発する)様子を観察する. さらに,磁場中で運動する荷電粒子に作用する力について学ぶ. この力は磁場の大きさだけでなく,粒子の速度(大きさと磁場に対する向き)にも依存する.


  13. 電流がつくる磁場とアンペールの法則
  14. 前章では,磁場を描き,運動する荷電粒子あるいは電流に磁場が及ぼす力を学んだ. 本章では,磁場をつくる原因(運動する電荷)に注目し,電線を流れる電流が作り出す磁場の計算の仕方を学ぶ. 磁場の算出にはアンペールのを用い,何本もある電線を流れる電流が作る磁場の向きを右手の法則から予測する. ガウスの法則のときと同様に,アンペールの法則を用いて磁場を求めるには,計算を単純にするため配置が対称的でなければならない. 電流がつくる磁場を計算する式があれば,電流と電流の間に働く力を調べることができる. 電流は周囲に磁場をつくるので,付近の電流(が流れる電線)に力が加わる (ローレンツ力:F = q v x B = I L x B)


  15. ファラデーの法則
  16. 運動する電荷(電流)が周囲に磁場をつくるなら,磁場が時間的に変動するとき電場が生じているだろうか? 答えはYESであり,ファラデーの法則が現象を正確に記述する. 変動する磁場があるとき,その場所の電線には電流が流れる(電流が流れるための電場が生じる). 同様に,静的な磁場に導体が出入りするときにも,同じ効果が生じファラデーの法則で記述される: 磁束(磁場×断面積)の時間的な変化は誘導起電力(電圧)を生じ,コイルに電流が流れる. レンツの法則(ファラデーの法則に組み込まれている)から,誘導電流がつくる磁場が磁束の変化を妨げる向きとなるように起電力の向きが決まる.


B. 教科書にそって